1分ゲームは何秒で理解できるべきか
1分ゲームの「理解のしやすさ」を、『60秒後の彼女』のタイトル画面から最初の操作までを機械的に分解して測りました。説明文字数・タブストップ数・リトライ導線から、設計の指標を整理します。
結論: 本作はタイトル画面から「開始ボタン」を 1 画面で提示し、最初の操作(TAP)までは「難易度選択 → 開始 → Space」の 3 ステップです。説明は折りたたみ(約 196 文字)で常時表示を圧迫しません。これらは「理解時間そのもの」ではなく、構造の指標です。
1. なぜ機械的指標を測るか
「ユーザーが何秒で理解したか」は実ユーザー調査(アイトラッキング・発話思考法等)でしか測れません。本作はその調査を行っていないため、かわりに構造的指標を測ります。これらは「理解のしやすさ」の proxy であり、断言ではありません。
2. 測定した指標(この環境での値)
| 指標 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| タブストップ数(タイトルから) | 21 | キーボードで順送りできる要素数 |
| 主要CTA数(#startBtn等) | 2 | 「救助を開始する」が明確 |
| 説明文字数(折りたたみ内) | 約 196 文字 | 常時表示は抑制 |
| タイトル→最初の操作までの画面遷移 | 1 | 開始でゲーム画面へ |
| キーボードのみの手順 | Tab×12 → Enter → Space | 開始→初タップ |
| no-JS で情報到達 | 可能 | noscript で案内 |
生データは リポジトリの reports/onboarding.json にあります。
3. 操作種類を絞る
本作の操作は TAP・DRAG・HOLD・WAIT の 4 種に絞り、タイトルで一覧表示します。初年の選択肢(難易度)も 3+練習の 4 種と小さく、Hick–Hyman の法則が示す「選択肢増加に伴う意思決定時間の増大」を抑えています。ただし Hick–Hyman を「本作の理解時間」の証明には使わず、設計の指針としてのみ参照します。
4. リトライ導線
失敗・成功どちらでも結果画面から「リトライ」ボタンで即座に再開でき、1 画面遷移です。短いゲームだからこそ、失敗のコストを下げる導線を最優先にしています。
5. 段階的開示(progressive disclosure)
詳しい操作説明は <details> で折りたたみ、初見は「遊び方を開く」から展開できます。常時表示を減らし、まずは「開始」へ向かわせる構成です。
6. 中断と再開
バックグラウンドに移ってもタイマーは凍結(タイマー記事参照)し、戻ればそのまま続きます。1 分という短さゆえ、中断のペナルティをゼロにしています。
7. 読者向けチェックリスト
- 最初の操作までの画面遷移が 1〜2 か
- 主要 CTA が 1 つに絞れているか
- 説明を折りたたみ、初見を圧迫しないか
- キーボードのみで開始までたどり着けるか
- 失敗後にすぐリトライできるか
8. 制限
- 「理解時間」そのものではない(proxy)。
- 実利用者の観察・アンケートは未実施。
- タブストップ数 21 はナビ・フッタ等を含む全要素(開始への導線としては 12 タブ)。
出典・参考
- W3C — WCAG 2.2(操作の到達性・名前・役割・値)
- Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two. Psychological Review. https://doi.org/10.1037/h0043158 (参照のみ)
- Hick, W. E. (1952). On the rate of gain of information. Quarterly Journal of Experimental Psychology(参照のみ)